外国人の翻訳・通訳業務と在留資格ついて その1
外国人の母国語含めた語学力を活かし、翻訳・通訳業務の仕事をする方法を、在留資格とともに紹介していきます。
1-①. 在留資格「技術・人文知識・国際業務」の方を「雇用契約」する場合
在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動は、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動」です。
また、「雇用契約」とは、労働者が相手方に使用されて労働に従事し、使用者である相手方は、その労働に対して賃金を与える契約のことです。
就労系在留資格の許可申請書の職種一覧には、翻訳・通訳(Translation / Interpretation)があります。この翻訳・通訳業務は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の国際業務カテゴリーの典型的な活動(業務)になります。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、所属機関との契約が必要ですが、複数の所属機関との契約を妨げるものではありません。例えば在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得してA社と契約して就労していても、さらにB社で就労をすることができます。
この場合、B社について、中長期在留者本人が事由が生じた日から14日以内に所属(活動)機関に関する届出をしなければなりません。
出入国在留管理庁HP https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00015.html
さらに、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の在留期間更新申請時は、在留期間更新許可申請書に関し、申請人等作成用は1つでよいですが、所属機関等作成用はA社とB社の2つ作成して申請します。
複数の所属機関(事業所)と契約し就労することはできますが、労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用について通算します(労働基準法第38条第1項)。よって勤務時間を合計して8時間を超えた場合は、割増賃金を支払わなければなりません。労働災害についても、①複数事業労働者の方への保険給付が、全ての働いている会社の賃金額を基礎に支払われ、②複数の会社等の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価して、労災認定の判断をするようになりますので十分注意が必要です。
1-②. 在留資格「技術・人文知識・国際業務」の方を「業務委託契約」する場合
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の方を、「業務委託契約」で外部の個人や事業者として、翻訳・通訳業務の仕事をしていただくこともできます。
しかし、使用従属性が認められれば雇用契約となりますので、使用従属性が認められる要素-①仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無、②業務内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無、③勤務場所・勤務時間の拘束性の有無、④通常予定されている業務以外の業務の有無、⑤報酬の基準が結果基準か時間基準か、などといったことには十分注意が必要です。